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脳卒中急性期での鍼治療

日本では、鍼と言えば「首肩腰膝の痛みにするもの」、「美容」、「痩身」というようなイメージがあるかもしれません。私が留学していた天津中医薬大学の第一附属病院では、脳卒中の患者さんが一番多い印象でした。というのも、同病院では石学勉教授の開発した醒脳開竅法(せいのうかいきょうほう)という特殊鍼法が盛んで、全国鍼灸臨床センターには一日2000人以上の外来者数をほこっており[1]、病棟も完備していました。もちろん、急性期から鍼施術を行っています。


急性期では、だらーんと四肢を投げ出したような弛緩している状態が多いですが、醒脳開竅法を行うと、刺鍼直後から腕が挙がるようになったり、指が動くようになったりといった瞬間に立ち会うことが多々ありました。醒脳開竅法は脳機能改善(中枢へのアプローチ)と四肢の運動機能改善(局所へのアプローチ)がセットになっており、局所の坐骨神経や正中神経などの神経幹を直接鍼で刺激することも良好な反応を導いている重要なポイントと考えられています。


脳卒中に対する鍼の介入時期の研究によると、早期からの介入の方がよいことがわかっています[2]。また、虚血再灌流後の炎症に対する脳保護作用もあると言われています[3]。日本の医療制度上、一旦病院へ入院をしてしまうと、鍼施術を急性期から受けるというのはなかなか難しいかもしれませんが、なかには、病院の許可を取って通院しながら鍼も取り入れるという方もいらっしゃいます。


私が天津中医薬大学に留学した理由の一つは、大学生のときに短期研修で訪れた第一附属病院での「実際に鍼をした直後に腕が挙がるようになった」というエピソード体験です。腕が動くようになり、泣きながら喜んでいる患者さんの姿を今でも度々思い出します。大学自体は新校舎・新学区へと引っ越しをし、新病院も本格的に運用されています。また機会があれば、母校来訪をしてみたいと思っています。


参考:

[1]『中医臨床』通巻116号(Vol.30 No.1)http://www.chuui.co.jp/chuui_plus/001587.php

[2]朱崇田, 石娜, 石学敏. 醒脑开窍针法对缺血性中风针刺介入时机治疗的临床研究[J]. 四川中医, 2012(08):132-134.

[3]倪光夏, 石学敏, 王占奎, et al. 醒脑开窍针刺法对缺血再灌注大鼠大脑皮层IL-1RI和TNFR-Ⅰ的mRNA表达的影响[J]. 南京中医药大学学报, 2012.

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