肩こりのポイントですが、経穴(ツボ)で言えば「肩井(けんせい)」というツボが有名です。僧帽筋上にあるツボで、いわゆる肩たたきをする場所と同じです。鍼治療の臨床では、肩こりのポイントを探しながら鍼をしていきます。
1)肩井の位置
肩こりのポイントを探すコツは、①圧痛点(おすといたいところ)、②指で圧迫(つまむ)すると筋収縮がみられるところ(局所単収縮反応, LTR)、③索状硬結(スジ状の固いもの)です。①の圧痛点や③の索状硬結はイメージがしやすいと思いますが、②の局所単収縮反応はあまりイメージがわかない方も多いかと思います。
局所単収縮反応というのは、筋肉がビクッとする反応です。圧迫によって虚血状態を一時的に作り出すとこの局所単収縮反応が引き起こされますが、この反応が起こる場所はいわゆる悪いところ(トリガーポイント)と考えます。コツとしては、①あまり強く圧しすぎない、②ゆっくり指の腹全体で均一な力をかけることです。上手に局所単収縮反応が誘発されると、首筋などに細かい筋収縮を確認できるはずです。また、小さい反応の場合は、指先で振動を感知することもあります。慣れてくると、肩井だけではなく筋肉全体を触ることができるようになりますがまずはツボ周囲を触って反応のあるポイントを探してみて下さい。
2)圧迫による単収縮反応誘発
3)圧迫による単収縮反応誘発
ご自宅でのセルフケアですが、前述の確認方法と同じように圧迫→虚血状態→局所単収縮反応の誘発がセルフケアの流れとなります。この方法を虚血圧迫法(きょけつあっぱくほう)と呼びます。コツはゆっくり10~30秒程度圧迫した後にパッと力を緩めることです。すると、トリガーポイントの血流が改善し、コリが解消されていくと言われています。マッサージオイルを用いて筋肉を圧迫したままゆっくり指先を移動させていく方法もおすすめです。
4)掴みながらスライドさせる方法
5)圧迫しながらスライドさせる方法
注意点としては、局所単収縮反応がないからといって強く圧しすぎないことです。過度な力がかかりすぎると皮膚や筋肉を傷めてしまう原因となります。適度なスピードと刺激を心掛けてみて下さい。